長年お気に入りのIKEAのソファにカバーを新調したい。でもソファカバー生地が決められない。なかなか答えの出ない問いはもちろんこれ、「天然素材 vs合成素材」!
あなたのソファにベストなカバーを見つけるためのリサーチと比較検証、私たちが全部やってみました…ご自分でやらなくていいようにね!
天然と合成素材の違い
さて、天然素材と合成素材の間にはどのような違いがあるのでしょうか。そしてその違いは何を意味するのでしょう?
前提として、天然素材は植物・動物などの自然由来の成分でてきているのに対し、合成素材は化学成分や石油・石炭・プラスチックなどに由来するさまざまな成分を複雑に組み合わせ、人工的に作り出されます。
それだけ聞くと合成素材ってあまり良くないもののように聞こえますが、繊維開発技術が進むにつれ、天然素材よりはるかに優れたところをもつ人工素材も生まれているんです。
快適度
まずは心地よさから比べて見ましょう。天然素材はやはり合成素材より気持ちよく感じます。でも理由はなんでしょう?
それは、目がきつく織られている合成素材に比べ、自然由来の素材は通気性に富んでいるからです。
コンフォートワークスの生地を使って検証してみました。Gaia Fog と Kino Ashのふたつです。
違いは一目瞭然。コットン生地は繊維の間に小さな隙間を保っていますが、合成ポリエステル生地はほとんど隙間がありません。
あなたも実際にサンプルを手にとってGaia FogとKino Ashの違いを確かめることもできます。同じ織り方で比べても、合成繊維に比べてたくさんの隙間がある有機繊維は、織り目の詰まり具合に関わらず空気を通しやすいつくりになっているのです。
心地よさと通気性の良さという点では、自然素材の生地が断然、上です。
吸水力
続いて吸水性を比べて見ましょう。こぼした飲み物やワンちゃんの失敗で新品のソファカバーを汚すのは嫌ですよね。そんなテストに耐えうるのはどちらの繊維でしょう?
合成繊維には隙間がない、ということはつまり防水力に優れているということです。天然素材は水を吸収しやすく、なかでもコットンは格段に優れていて、それ自身の27倍の重さの水を保持できます。子供やペットがいるお家ではちょっと困ることになるかもしれません。
水のアクシデントに対応できる生地をお探しなら、合成素材が良いでしょう。
耐久性
この勝負もまた、合成素材に分がありそうです。「合成」の技術によって繊維をどこまでも硬く、頑丈にすることができるようになりました。この点残念ながら天然素材は、元来持っている張力に限界があるので、どんなに固く織り上げたとしても合成繊維の強さには叶わないのです。
これが心地よさと耐久性の天秤というよくある問いを生むのですね。Gaia Fog と Kino Ashの場合、比較はこのようになります:
合成素材の繊維は無機化合物であるため、長期の経年劣化にも耐えうる超高強度の生地を作り出すことができます。やはりアクティブなライフスタイルを好む人や子供やペットがいる家庭では摩耗に強い合成繊維のソファカバーが最適と言えそうです。
メンテナンス
この点では天然素材と合成素材の勝負、引き分けと言えるかもしれません。どちらの繊維にも長所と短所があり、どちらがよいとも一概には言えないからです。
合成素材は最も手入れが簡単な部類に入りますが、その組成によって高温に弱いという傾向があります。天然素材の欠点は洗濯機に向いていないものが多く、またしわになりやすいという、個人的に言えば絶対に避けたい問題です。しかし60°C-70°Cくらいの熱に対しては強いので、ソファカバーをバイ菌0にしたい場合は良いかもしれません。
ただこれはすべてのソファカバーに当てはまるわけではないため、購入の際には製品の注意書きをよく読んでください。天然素材の生地が耐久温度を超えた熱を受けると、防縮加工がされていても縮む可能性があります。
見た目
さて、ここが重要なところです。見た目はどうか?自分のソファを安っぽく見せたい人なんていませんよね。でも部屋にぴったりのスタイルを叶えてくれる生地はどちらでしょう?
この写真から分かるように、天然素材の生地はよく使い込まれた印象を演出するのに最適です。シャビーシックな雰囲気が漂うのは天然素材は繊維の結合が弱く、体温で簡単にその結合がほどけてしまうからです。そのため座ったあとのかたちやしわなどが簡単にソファカバーに残ってしまうのですね。
そんな天然素材は合成素材に比べてリラックスした、家庭的な印象を醸し出してくれます。硬い繊維である合成繊維は元の形を保持する力に優れており、IKEAのKARLSTAD/カルルスタードのソファに合わせたKino Ashカバーのような、クリーンで手入れが行き届いたような印象を与えます。もし私のようにしわ一つついても気になるという人は、合成素材が良いでしょう。
ということで、この回は勝負つかず。それぞれの好みとスタイルによってどちらが良いかも変わってくるということですね。ソファを置くお部屋のトータルの雰囲気に合うような生地を選びましょう。
環境への影響
私たちコンフォートワークスは地球の環境を守るためにできる限りの努力をしています。ごみゼロを目標に、廃棄を極力減らし(reduce)、使い捨てをせず(reuse)、リサイクルする(recycle)という取り組みを行っています。みなさんがソファカバーのご注文時にエコな選択をしていただくことも、この取り組みの後押しとなります。
天然素材は微生物によって土に還りますし、気持ちの良い素材ですが、天然資源の行き過ぎた伐採、素材の元となる動物の乱獲、そして大規模な殺虫剤の使用などに繋がります。特に「オーガニック素材」を謳っている生地を買うときは注意が必要です。オーガニック素材が環境には有害となる場合があるためです。
一方合成素材は生態環境のバランスには非常に大きな影響を与えています。素材そのものが無機物であるというだけでなく、その製造過程も化学物質が満遍なく使われているためです。プラスチックと同様、合成繊維は分解に非常に時間がかかり、世界中にあるごみの埋立地が膨らんでいく理由となるわけです。
なかなか難しい問題ですが、一般的にいえば天然素材の方が環境には優しいと言えそうです。ただし「オーガニック生地」にはご注意を。
最終判定
なかなか僅差の勝負となりましたが、総合的には合成素材に分がありそうです。
多くの人が仕事と家事を両立させアクティブな生活をしている現代では、合成素材はメンテナンスが容易で耐久性があり、日常的な手間がかからないといった利点を生かしてノンアイロンシャツやナノコーティングを施したソファカバー、傘などに使われてきました。
もちろん、天然と合成の両方の良いとこどりができるのが理想ですよね。私たちは天然と合成繊維をブレンドし、合成の強さと手入れのしやすさ、そして天然の贅沢さと心地よさが組み合わさった生地を作りました。
あなたもご自分のソファをごみ埋立地行きから救うことで環境を守ることに貢献したいと思っているなら、ぜひオーダーメイドのソファカバーを新調することをご検討ください!生地のコレクションはこちらからご覧になれます。